ジェンダーフリー社会について

   もう選択的夫婦別姓推進派の本丸はジェンダーフリー社会の実現なのだということをはっきりさせて欲しいのです。ジェンダーフリー社会の橋頭堡だから、選択的夫婦別姓の砦を落とすことに執着するわけですし、反対派は守る必要を感じるわけです。それがなければ、反対派というか慎重派は同姓に特に興味がありません。姓の子供への影響とか、問題になりません。

   しかし、ジェンダーフリー社会を目指すという目論見を持った運動である以上、見過ごすわけには行きません。

  まず、離婚の問題です。確かに、子供が非嫡出子や複雑な家庭の生まれだから差別を受ける、これは問題です。非嫡出子の相続の判決はやむを得ないでしょう。子供はどんな親から生まれるか選べず、責任はないからです。

  他方で親が結婚の失敗を全く気にする必要がないか、というと別問題です。本来、婚姻の継続は努力を要するものであり、努力の必要ないんだ、結婚しようが、離婚しようが、自由なんだというジェンダーフリー思想に同意するわけにはいきません。離婚の負の側面を本人たちが一切負わず、社会に転嫁するようなことは許されません。

   次に育児の問題です。私も仕事において、女性が男性に劣らぬ能力を有し、それを発揮すべきだという点は同意できます。しかし、出産に続く育児において、育児を最優先することを求められた場合、夫婦のどちらかが、育児を仕事に優先させるしかないと考えます。その際に、夫婦の話し合いで妻が育児を優先させ、夫が仕事を優先させることは多いにありうる選択肢です。夫婦両方が仕事を優先して、片手間で育児できるというのは幻想です。他方で夫婦両方が育児優先で行くことが仕事的に可能とは限りませんし、全ての職場に男性の育児優先を強制することが可能とも思えません。少なくとも、夫婦の選択の自由の領域ではないでしょうか。