改姓の不便の問題

  選択的夫婦別姓推進派の議論の進め方で大いに問題なのは、プラグマティズムとフェミ二ズムの使い分けです。国民の理解を得ようとする時は、現に困っている人の手続き的な話を前面に出して、「それは助けてあげなければ」と丸めこもうとします。しかし、職場の旧姓使用承認など、現実的に問題が解消され、選択的夫婦別姓制度が必要ないと結論づけられそうになると、急に「それでは足りない。女性の人権問題なのだ」と思想の面を表に出して抵抗するのです。

  選択的夫婦別姓推進派の中にはゴリゴリの左翼からリバタリアン発想で別姓にシンパシーを抱く人までいるのは確かでしょうが、その根本としてはマルキシズムに源流のあるジェンダーフリー思想があります。表面的には自由を掲げていても、根っこは恐ろしい思想だということは心に止めておく必要があるでしょう。